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引き算の優しさ

恩田陸『夜のピクニック』を読み終えた。

感想は……
読むのが遅すぎた、もう読むべき年代を超えてしまっていた、と感じた。

文中に「…今から二人の新しい関係を待ち受けている時間。…これからの関係こそが、本当の世界なのだ」とあるが、もう自分には「これからが本当の世界」なんて考えることはできない。「今ある世界が本当の世界」と考えて(自分に思い込ませて)生きていくしかない。
もう後戻りできない地点まできてしまったことをつくづく思い知らされた。
書物には読むべき時期がある、という言葉の正しさを実感させられた小説となった。

印象に残った言葉を記しておく。

「他人に対する優しさが、大人の優しさなんだよねえ。引き算の優しさ、というか。大体、俺らみたいなガキの優しさって、プラスの優しさじゃん。何かしてあげるとか、文字通り何かあげるとかさ。でも、君らの場合は、何もしないでくれる優しさなんだよな。それって、大人だと思うんだ」
この「引き算の優しさ」って言葉、いい!! どっかで使おう (^_^)
by usagi-kani | 2006-02-05 06:00 | 本・ことば | Trackback | Comments(0)