日々の出来事、言葉との出会いを綴っていきます。何年後かの自分のために。

by usagi-kani

角田光代「森に眠る魚」を読んで

人間関係とは何なのか。「仲良し」であっても、ちょっとした誤解や言葉で簡単に壊れてしまう。それは、本当に「壊れた」のか。それとも「仲良し」が幻想に過ぎなくて、もともと関係などなかったのか。

何にしても人間関係とは危ういものだ。その「人間関係の危うさ」がこの小説のテーマだと思う。

一人称や特定の人物の視点からずっと描いてある小説ではなく、登場人物の間で視点が入れ替わって描かれるため、誰が誰なんだかよくわからなくて確認のために前に戻ったりしながら読み進めたが、中盤からは先を読みたくて仕方なくなった。
特に終わり三分の一くらいからは、サスペンス風の趣もあり、単調になりかねない内面描写の連続なのにも関わらず一気に読めた。
一番ハラハラしたのは赤ちゃんの腕が脱臼させられたところ。母親が早く気づきますように、と祈るような気持ちで読んでいた。
案外すぐ気づいて病院に連れて行ったので、思わずホッとしたり…。完全に子どもを持つ親の視線になっていた。

ママ友は、誰々さん(名前)でなく、「○○ママ」という呼び方をされる。あくまで子どものママとして見ている、つまりその人自身の人間性など問題にしていないことが、その呼び方にも現れている。個人対個人の関係でなく、間に「子ども」を介在した関係であるだけに、ややこしくももろいのかも知れない。
子育て中のお母さん方には、この話の中に自分の姿を見てしまう人が多いのではないだろうか。

とにかく面白かった。

もっと角田光代を読みたいと思い、学校の図書館に行ったが、読んだことのある本しか置いてなかった。
それで、比較的内容を忘れている「対岸の彼女」を借りて今読んでいる。
[PR]
by usagi-kani | 2014-03-13 12:32 | Comments(0)