日々の出来事、言葉との出会いを綴っていきます。何年後かの自分のために。

by usagi-kani

これをエロ小説と思って読まないのはもったいない

窪美澄『ふがいない僕は空を見た』を読んだ。

図書館に東野圭吾『祈りの幕が下りる時』を返しに行き、さて次は何を読もうかなと迷って、どこかで聞いたような題名だから、という理由で選んだ。

予備知識はゼロ。
だから、読み始めは、コスプレや性描写がやたらと多いことに驚き、嫌悪感さえ覚えた。

途中で放り出してしまうかも、と思いながら読んでいたのだが、後半は一気に読んでしまった。「セイタカアワダチソウの空」「花粉・受粉」の二章は独立した短編小説としても秀作である。
特に「セイタカアワダチソウの空」は、何て言えばいいんだろう、「人生の思い通りにいかなさ」のようなものがうまく表現されていた。いい人なのにどうしようもない性癖を抱えていたり、才能があっても環境が邪魔をしたり……。読んでいて切なくなる話だった。これが読めただけでもこの本を手にした甲斐はあった。

文章もうまい。
この作者に他に作品があるのかは知らないが、あるのなら読んでみたい、と思った。ただ、これ以上の作品である可能性は少ないだろうな。このレベルを量産できたら一流作家だ。

この作品の前に読んだ『祈りの幕が下りる時』も感動して涙がこぼれそうになったくらいだったし、二作続けて良作に出会えた。
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by usagi-kani | 2014-02-03 15:14 | Comments(0)