日々の出来事、言葉との出会いを綴っていきます。何年後かの自分のために。

by usagi-kani

温室の中は快適か

初めて瀬尾まいこの本を読んだ。
書名は『温室デイズ』。
学級崩壊やいじめの話であることは何かで読んで知っていた。いつかは読みたいと思っていた本だ。
書名の「温室」が学校を表すことも知っていた。よく使われる比喩であるし、自分も「学生時代は温室にいるようなもの。守られている。社会に出ると厳しいことがいろいろある」という話を生徒にしたことがある。
でも、考えてみれば、温室の中にいても、涙を流し、死にたくなるほどつらい思いをすることはあるのだ。「温室」という言葉から想像するほど、中は平穏ではない。感受性が豊かな年代であるだけに、「傷」と無縁に過ごすことは難しい。自分の学生時代を振り返ってみても……結構激しい時代だったな。表面的にはともかく、内面的には絶えず揺れ動いていた。

さて、感想だが。
あっさり書かれすぎていて拍子抜けした、というのが正直な感想。淡々と描き過ぎじゃない? 特にいじめについては内容(どんなことをされたか)や心情(つらさ)を書き込まないと、それに負けずに登校する少女の強さが読者に伝わらない。それに(こんな言い方は何だけど)そういう「刺激」を読者は求めてもいると思うのだ。「ひどい」「かわいそう」と「思わされたい」のだ。せっかく本を読むのだから心の中に波風を起こして欲しい……そんな期待が読者にはあると思うのだが、どうだろう?

ただ、悪い作品ではなかった。変にドラマティックではないところも「これがリアルなのかな」と思えるし。
「淡々としすぎている」と評したが、馬齢を重ねた私だからそう思うのであって、感受性豊かな少年少女が読めば、このくらいで十分に心を揺さぶられるのかも知れない。

最後に、まったくどうでもいいことだが……表紙のデザインがとってもいいと思った(笑)
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by usagi-kani | 2011-11-10 05:28 | 本・ことば | Comments(0)