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by usagi-kani

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池田晶子『14歳からの哲学』を読んだ。

この人の著作はどうも文章のリズムが合わない。素直に言いたいことが頭に入って来ないのだ。「もっとわかりやすく書いてくれよ」と言いたくなる。もちろん、この文章で十分わかりやすいという読者もいるだろうし、そのような文体で書く必然性が筆者にはあるのだろうから、その要望は私の単なるわがままでしかないのだが。
 
それでも今回の『14歳からの哲学』は、対象が若年であるだけにかなり読みやすいほうだった。

中でも「15 友情と愛情」はなかなかよかった。

「本当の友情、本当の友だちこそがほしいのだけど、いない、と悩んでいる人が多いみたいだ。でも、いなければいないでいい、見つかるまでは一人でいいと、なぜ思えないのだろう。」
筆者はそう問いかける。
そして……一人でいることに耐えられないということは自分を愛することができないということだ。自分を愛することができない人に他人を愛することなどできるわけがない。自分を愛し、孤独を味わえる者同士が幸運にも出会うことができたなら、そこに生まれる友情こそが素晴らしいのだ……と論じていく。
確かに、人間は自分と釣り合いの取れる相手を選ぶ。自分を豊かにしなければ、良い友人などできるわけがない。納得。

ところで、先ほどの「いなければいないでいい、見つかるまでは一人でいいと、なぜ思えないのだろう」という問いかけは、友だちの場合以上に、恋人や結婚相手に関しても言えると思う。
恋愛至上主義とでも言うべき現代の風潮。その中では、恋人がいないことは罪悪にさえ思われる。昔ほど絶対的ではなくなったとは言え、結婚適齢期という縛りは(身体的にも)存在する。
そんな中で「(恋人が)いなければいないでいい、見つかるまでは一人でいい」と言い切ることは困難だろう。よほど「強い」人でなければ。
多くの人は弱い。いくら自己の信念とはいえ、流れに逆らって立ち続けるつらさより、流される気楽さを選択するだろう。

筆者の池田さん、「なぜ思えないのだろう」の答えは、人間は弱いから、ですよ。
人間は、「いなければいないでいい、見つかるまでは一人でいい」と思えるほど強くない。自信のなさから目をそらすための虚栄心や、それを満たすことで得られる自尊心に依って生きている弱い生き物なのです。
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by usagi-kani | 2007-01-13 06:41 | 本・ことば | Comments(8)