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猫を飼う 4

2020年。新型コロナ・ウイルスが世界的に流行し、東京五輪が延期になった年。この年をどう評価し、記録するかは歴史学者に任せるとして、子どものいる家庭にとって極めて現実的に大きな意味を持ったのは学校が休校になったことだろう。

我が娘が通う小学校も3月上旬から休校になった。娘は春休みが早く始まったという認識なのか、喜んでさえいた。1時間程度勉強して、あとはマンガを読んだりゲームをしたりの日々。小学生が喜ばないわけがない。

だが、新学期になって1週間ほど登校した後、緊急事態宣言が出されて再び休校になったあたりから変化が現れた。

父と娘だけの家庭である。父親である私が仕事に出かけている間、一人で留守番をしていることになる。小学生の女の子が一人で家にいるという孤独感(それは恐怖と言った方が正確かも知れない)は娘の心に少なくはない影響を与えたに違いない。私がいるときでも、マンガを読みながら、ネットで動画を観ながら、あるいはゲームをやりながら、やたらと声を出して笑ったり、不自然に大きな声で独り言を言ったりするようになってきた。

心理学者でもなんでもない素人の見立てではあるが、一人でいるとやはり人恋しくなるのだろう。人の声が聞きたくなるのだろう。だが、話し相手になってくれる人は誰もいない。それで、自分の声で淋しさを払拭しようとして不自然なほど声を発するようになったのではないか。そう考えた。

そう考えはしたが、だからといって出来ることが思いつかない。早く学校が再開するのを願うしかなかった。


# by usagi-kani | 2020-05-17 18:43 | 日記 | Trackback | Comments(0)

猫を飼う 3

猫を飼うという話をしたら、同僚の女性が自分の子どもの頃の思い出話をしてくれた。いつ頃の話か詳しくは聞かなかった気がするが、話の内容から彼女が小学2年生くらいで妹さんが幼稚園の年中か年長くらいではないかと思う。


学校の帰りに友人宅に寄り、まだ小さい子猫をもらって帰宅した。そろばん塾まで時間がないので、玄関でもらってきたエサをあげたが食べなかった。家には誰もいないし、子猫だけを家の中に置いておくわけにもいかないと考え、自分の自転車のカゴに子猫を入れて(そこから逃げられないくらいの幼い猫だった)、徒歩でそろばん塾へ出かけた。

彼女がそろばん塾に行っている間に母と妹が帰宅した。玄関には猫のエサがあり、姉の自転車には子猫がいる。それを見た妹は、姉が猫のエサを食べて猫になってしまったのだと考えた。あまり動物は好きではなかったが、「おねえちゃんだから世話してあげなくっちゃ」と心を決めた。

その後彼女が帰宅して真相が判明する。

結局子猫は彼女の家では飼えず、友人宅へ戻されることになった。


そんなお話。

シンプルに内容だけ紹介したが、妹さんの目線で書いたらちょっと素敵な童話になりそうな話だ。タイトルは『おねえちゃんがネコになった』でどうだろう。


# by usagi-kani | 2020-05-16 23:43 | 日記 | Trackback | Comments(0)

猫を飼う 2

あいみょんを聴くと言うと意外な顔をされることが多い。多いと言うより100%意外な顔をされる。自分も若い頃は、五十代・六十代の大人たちは演歌や民謡を聴くのだろうと漠然と思っていた。自分がその年代になって理解したことは、年齢が増え外見が老けても、中身はさほど変わらないということだ。よほどのことがなければ自分という人間は(その本質や根元は、という意味だが)変わらない。若い頃は見るのも嫌だったシイタケが食べられるようになっても、ロックを聴いてきた人間は相変わらずロックを聴く。食べ物が肉体と結びついているなら、音楽は精神と結びついているのかも知れない。肉体が成熟しやがて衰えても(その結果食べ物の嗜好が変わっても)、精神はそれほど変わらないということなのだろう、たぶん。

それはともかく、あいみょんの『君はロックを聴かない』という歌にこんなフレーズがある。


君はロックなんか聴かないと思いながら

少しでも僕に近づいてほしくて

ロックなんか聴かないと思うけれども

僕はこんな歌であんな歌で

恋を乗り越えてきた


猫を飼うことによって、娘が現在の退屈や孤独や淋しさを乗り越えてくれればいいなと思う。

だから、なぜ猫を飼うのかと尋ねられたら、淋しさを乗り越えるため、と答える。納得してもらえる答えなのかはわからない。猫を愛する人たちからは非難される答えなのかも知れない。猫は淋しさを埋める道具ではない、と。

しかし、人は淋しさから恋をすることもある。だったら、淋しさから猫を求めても許されるだろう。


どうか、我が家にやってくる猫が娘の淋しさを乗り越えさせてくれますように。


# by usagi-kani | 2020-05-15 23:48 | 日記 | Trackback | Comments(0)

猫を飼う 1

「素直な子ども」というのは基本的に褒め言葉であろうし、親にとって言われて嬉しい言葉なのは間違いない。それなのに時として、子どもの素直な態度はかえって親を心配にさせるものだということを世の親たちは誰でも経験的に知っている。


「お父さん、明日も仕事?」

と寝る前に娘が書斎部屋に声をかけてきた。

「ああ、そうだよ。どうした、淋しいか?」

冗談まじりの問いかけに、いつもなら「自由に出来ていい」とか「臭くなくていい」とかふざけ半分の憎まれ口が返ってくるはずだった。

ところが返ってきたのは、

「うん、淋しいなぁ…」

という答えだった。

素直すぎる。拍子抜けするほど、素直すぎる。親を不安にさせる素直さだ。これは決してよい状態ではない。いっぱいになったダムが決壊するように、淋しさの洪水が娘の心にダメージを与えようとしているに違いない。

「猫を飼おう」

「えっ」

「猫を飼わないか」

「うん、飼いたい。やったぁ。お父さん、大好き」

大好き? やはり素直すぎる。


こうして「猫を飼う」がいよいよ具体的に動き出すことになったのだった。


# by usagi-kani | 2020-05-14 22:54 | 日記 | Trackback | Comments(0)

ひろしま総文

ひろしま総文_f0052907_15461945.jpg

全国高校総合文化祭弁論部門に今年も参加できました。
それにしても会場の三次市は遠すぎる。広島市まででも遠いのに、そこから電車で2時間弱って…。
引率してきた生徒の発表も終わって、気持ちはすでに来年のみやぎ総文へ。隣県でもあるし、是非とも参加したいな…。
# by usagi-kani | 2016-08-01 15:37 | Trackback | Comments(0)