日々の出来事、言葉との出会いを綴っていきます。何年後かの自分のために。

by usagi-kani
「アニバーサリー」に続いて窪美澄「晴天の迷いクジラ」を読んだ。
ストーリーはありきたりと言えばありきありだが、この小説の魅力は文章にある。
窪美澄ってこんなに文章上手かったっけ?

また、正子の章がすごくいい。
悪意がなくても、ちょっとしたズレで、人は不幸になってしまうし、人を不幸にしてしまう。わかっていてもどうしようもない……それが人生なんだろうな。

図書館で借りて読んだが、この本は買う!
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# by usagi-kani | 2015-03-19 22:27 | 本・ことば | Comments(0)
窪美澄『アニバーサリー』を読んだ。
彼女の作品は『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』に続いて3作目(だと思う)。「性」を中心に据えて人間をよくとらえていると思う。
現在私が一番注目している作家だ。

戦争と東日本大震災。
二つの悲惨な出来事には数十年の時間差がある。
その間に社会は大きく変わった。文化が発展し、特に電化製品が進化した。女性の社会進出も大きく進んだ。その変化が女性や子どもに何をもたらしたかを的確に描き出している、と思った。基本的に私も作者と同じことを考えているので、共感できた。

以前に読んだ2作品も素晴らしかったが、この作品も(村上春樹なんかより)読む価値のある小説だ、と感じた。
世の子育て中の親に、あるいはこれから親になる人に是非読んで欲しいと思う。

印象に残ったところを書き抜いておく。
目標を持ったほうがいい。夢を叶えるために頑張ったほうがいい、と言われると、具体的な目標や夢を持たない自分が、なんだかだめな人間みたいに感じられる。自分が好きなことは、写真を撮ることだけど、それが目標や夢かどうかはよくわからなかった。

自分だけの洗濯機、掃除機。なにか一つを手に入れるたびに、自分が豊かになった気分になった。炊飯器、電子レンジ、電気ポット。温かいものをいつでも子供たちに差し出し、与えることが幸せだった。
少しずつ豊かになって便利になった。
そして、同時に、何かが少しずつ損なわれていったのだ。自分の知らないところで。

明るいものを、温かいものを、自分より後に生まれた人たちに渡していたはずなのに、それは自分が思っているよりも、ずっと冷たくて硬いものだったのかもしれない。真菜に言われたように、私たちは望みすぎたのかもしれない。もっと、もっとたくさん。二つの手のひらに載せられないものを私たちは欲しがったのだ。


自分がよかれと思ったこと、それが相手にどう受け取られるかはわからない。でも、私たちは私たちが手にしたものを子どもたちに、次の世代に手渡していかなければいけない。たとえ「負の遺産」などと言われようと。その連鎖こそが人間が生きるということなのだろう。

ネットで検索したら、作者がこの作品について話をしているインタビュー記事があったのでそれも載せておく。
たとえば2013年に『アニバーサリー』という本を出したのですが、執筆し始める前に3.11の震災がありました。
これは私の個人的な思いなのですが、男の人に対して怒っていたんです。それがすごくダイレクトに本に反映されています。ああいう有事があったとして、男の人の手は借りないよ、という。子どもを生みたくても、言い方は悪いけれど種だけくれれば、世代を越えて女同士は協調して生きていきます、という話だから、たぶんあれを男性が読むと相当キツいんではないかな、と(笑)。書いた後も、「これは書きすぎたな」と思う節はありますね。

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# by usagi-kani | 2015-03-12 21:15 | 本・ことば | Comments(0)
こんな話を聞いた(読んだ)ことがある。

旅人がある村に立ち寄り、お世話になったお礼にと村人(長老?)にコーヒーをごちそうしようとする。すると、村人はそれを断って言う、「それはきっとおいしいものなのだろう。だが、今後手に入れる手段がない。だから、飲みたいのに飲めないという不満、もっとおいしいものがあるのにそれを口にすることができないという不満を感じながら生きることになってしまう。それなら最初から知らないほうがいい」と。

哲学的な話、ということになるのだろう。
知ってしまったら知らなかった昔には戻れない。
現状に不満を持つことになるのなら知らないほうが幸せなのか。たとえ二度と手にすることはなくても素晴らしいものを経験したほうがいいのか。

生徒たちの場合で言えば、こんなことだろうか。
校外の講習会に参加し、素晴らしく教え方の上手な指導者に教えてもらう。「この先生にずっと教えてもらえたら、自分の力をもっと伸ばせるのではないか」と考えてしまう。その結果、それまで特に不満も覚えていなかった部活動の顧問の指導に素直に従えなくなってしまう……。
部活動に限らず勉強でも同様のことはありそうだ。

さて、私がこのコーヒーの話を聞いたとき連想したのは夏目漱石の「こころ」だった。

「K」にとって恋はコーヒーだったのだな、と思ったのだ。

恋を、たとえ片思いであっても、苦しくとも甘美なあの感情を知ってしまったら、好きな人を想う素晴らしさを知ってしまったら、知らなかった以前には戻れない。
つまり、「K」は「道のためにはすべてを(欲を離れた恋そのものでも)犠牲にすべきもの」というそれまでの生き方を継続することはできなくなってしまったのだ。
自分の生き方を失ってしまった「K」にとって、選べるのは「死」しかなかっただろう。

一度の大勝を忘れられず、ギャンブル沼に落ちていく人。
愛し愛された経験が忘れられず、恋愛ジャンキーとなって自分をボロボロにしてしまう女性。

「一度だけの素晴らしい体験」は果たして「幸せ」なのか。

私は……一度だけであっても経験したいと思う。たとえそのために失うものがあっても

ところで、あなたは?
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# by usagi-kani | 2015-02-16 21:24 | 本・ことば | Comments(0)

雛人形、そして

2月8日(日)、雛人形を飾る。
6回目だと慣れたせいだろうか、30分強で飾り終わった。
手伝った娘は、後で一人で和室にこもって30分も眺めていた。やはり嬉しいものなのだろうか。
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夜、前日に録画した「そして父になる」を観る。
子どもの取り違えをテーマにした映画だと思っていたが、自分大好きな仕事人間の男が、事件を機に子どもと向き合うことで「父親」になっていく、その過程を描いた映画だった。
これは名作と言っていい作品だと思う。
世の父親たちにおすすめしたい映画だ。
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# by usagi-kani | 2015-02-10 19:00 | Comments(0)

2度目のスキー

娘と再びリステルへ。
風もなく暖かい、絶好のスキー日和だった。
片道2時間かけて行ったのに、30分で「もう帰る~」。
娘よ、そりゃないだろう…。
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# by usagi-kani | 2015-02-07 22:26 | Comments(0)