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ネット王子とケータイ姫

現代を生きる者として
新しいメディアの功罪は避けて通れぬ問題。

そんなわけでインターネットやケータイを扱った本を読もうとは思っていたんですが、
今回はこれを読んでみました。

書名:ネット王子とケータイ姫
著者:香山リカ・森 健

著者(の一人)が香山リカだというのが選んだ理由です。
心理学に関心があるのと彼女の文章が読みやすいこともあって、
これまでにも結構な数を読んできたんですが、
そんなに「ハズレ」というほどの本もなかったので、
彼女の著書なら安心して読めるかな、と思って。

非常に平易な文章で、実例も多数取り上げられていたので、
読みやすく理解しやすい本でした。

子供たちのネットやケータイ利用の実情(これは差があるので、「進んでる」子がどれくらい使っているかということですが)や、
なぜ男の子が「インターネット」で女の子が「ケータイ」にはまるかの分析など、
「ヘェ~」と感心する部分がいくつもありました。

特に、ひっきりなしにメールを打つ女の子についての分析。

メールがきたらすぐメールを送り返さないといけない。
時間をおくとそれは相手を軽んじていることになる。
それは逆の場合(相手からの返信が遅れている場合)も同じ。
すぐに返信がこないと相手が自分を軽んじていると感じ、
怒ったり、傷ついたりしてしまう。
だから、内容も特にない、一言だけのメールをやりとりするのだ、

と分析しているのですが、これには納得。
確かにあのペースで内容のあるメールをやりとりするのは無理。

まぁ、「要件」がないだけで「意味」はあるってことになるんでしょうね。

このことについて本の中では
つまり彼女は、関係性がまだ継続されているかどうかを確認し続けているだけで、その関係性を深めることやそこで重要な話をすることにまでは気が回らない、と言っているのだ。そして、「今この瞬間にも、もう嫌われているのではないか」という不安がまたメールを打たせる。そのウラには、「いつかは嫌われるだろう」という負の思い込みがある。
こうやって見てみると、いま少女たちにとってケータイは、友だちとの連絡を取り合うための装置というよりは、「いつ嫌われるだろう」という不安や負の思い込みを少しでも打ち消すための確認装置になっているのかもしれない。もちろん、その装置があるために、不安はよりいっそう増大するという場合もある。
と記述されています。

このへんが一番感心したところですかね。

本の最後に、今後の対応策が挙げられているんですが、
ここは完全な失敗。
分析だけしておいて対応を挙げないのでは片手落ち。
だから必要な部分ではあるのはわかります。
わかりますが、
こんなありきたりなことを今更書いてどうしようっていうの?
とつっこみを入れたくなる常識的で通り一遍な答え……

最後で台無しです。
書かない方がよかったとしか思えません。

それだけこの問題が難しいってことでしょうか。
by usagi-kani | 2006-02-02 04:27 | 本・ことば | Trackback | Comments(0)