2012年 06月 07日
『山月記』ノート(板書案)その2○李徴「詩を伝録してほし 問 「業」「この運命」と
い」 はそれぞれ何か。
答 業=詩人として名をな
すこと
↓ 運命=虎になったこと
○李徴の詩を聞いた袁傪の
感想
・格調高雅、意趣卓逸
・非凡な才
↑
↓
・第一流の作品となるには → 「微妙な点」とは?(後で
どこか(非常に微妙な点 考える)
において)欠けるところ
がある
○李徴の自嘲
・虎になっても詩に未練を
持っている
↓
・即席の詩
【第四段のポイント】
◆李徴は虎になってことを「運命」ととらえている→李徴を
導いた声は「運命」とも考えられる
◆虎になっても李徴は詩に強い執着を持っていて、そのよう
な己を自嘲している
→実現不可能な立場になっても夢を捨て切れずにいる人を
我々は笑う(ことができる)だろうか?
第五段「李徴の告白③~虎になった理由~」
○残月-光冷ややか
↓
暁(夜明けが近い)
○人々はこの詩人の薄幸を
嘆じた → 人々は李徴を「詩人」とし
て認識している
【虎になった理由】 【注意】あくまで李徴自信が考え
るものであって、正解とは
限らない
・臆病な自尊心 --
| → 自分の能力を信じてはいる
・尊大な羞恥心 -- が、実は才能が無いことが
明らかになってしまうかも
知れないという恐れから、
人と交わって努力すること
を避ける心理=才能がない
ことを暴露して恥をかくこ
とを恐れるあまり、他者を
見下しているように見える
態度をとってしまう心理
↓
・人間は誰でも猛獣使いで
あり、その猛獣にあたる
のが各人の性情
↓
・李徴の場合、尊大な羞恥
心が猛獣(虎)
↓
・外形を内心にふさわしい
ものに変えてしまった
【李徴の後悔・悲嘆】
「才能の不足を暴露するか → 「臆病な自尊心」「尊大な
もしれないとの卑怯な危惧 羞恥心」の言い換え
と、刻苦をいとう怠惰とが
おれのすべてだった」
↓
・才能の空費に気付くが、
もはやどうしようもない
↓
胸を灼く悲しみ
↓
「おれの毛皮のぬれたのは → 孤独の寂しさゆえに涙を流
、夜露のためばかりではな したということ
い」
【第五段のポイント】
◆「尊大な羞恥心」は自分にもある心理か? 人間に普遍的
な心理か?
◆才能があっても努力しなければ駄目→当たり前のことだが、
再認識させる
第六段「李徴の告白④~妻子に関する依頼~」
○李徴の二つ目の依頼
・妻子には李徴は死んだと → 虎になったことを知られる
告げてほしい 軽蔑される→自尊心が傷つ
・妻子が道塗に飢凍するこ くことを恐れている?
とのないように計らって
ほしい
↓
「本当はこのことを先にお → 李徴の人間観=自分の夢よ
願いすべき」「妻子より自 りも家族を優先するのが人
分の詩業を気にかけている 間である
ような男だから、獣に身を
堕とすのだ」
○振り返って自分の姿を見
てほしい
↓
再び会おうとの気持ちを
起こさせないため
【第六段のポイント】
◆夢と家族のどちらを優先すべきなのか? 李徴の言うよう
に、夢を優先するのは人間として間違っているのか、を考
えさせる。
◆李徴が袁傪に姿を見せようとしているのはなぜか? 「再
び自分に会おうとの気持ちを起こさせないため」以外に理
由はないのか、を考えさせる。
第七段「李徴と袁傪の別れ」
袁傪一行は振り返って先ほ
どの草地を眺める
↓
虎が躍り出る
↓
すでに白く光を失った月を → 「月の光」は何のメタファ
仰いで、咆哮する ーか?→李徴の人間として
の意識(第五段の「残月、
光冷ややかに」も参照)
↓
もとの草むらに入って、再 → 「その姿を見なかった」と
びその姿を見なかった いう表現→李徴が人間性を
失ってしまったことを暗示
する(「見せなかった」だ
と人間としての意識が残っ
ていることになる)
【第七段のポイント】
◆李徴は袁傪たちに姿を見せて以降人間性を失って虎になっ
てしまったことが暗示されている。逆に言えば、李徴が袁
傪に姿を見せたのは「虎として生きる(覚悟を決める)た
め」ではないか(←第六段で考えさせたこと)