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『山月記』ノート(板書案)その1

第一段「李徴の人となりと行方不明になるまでの経緯」

【李徴の人となり】
・博学才穎            → 非常に頭がよい
・若くして名を虎榜に連ね
 る                → エリート
・狷介               → 協調性がない
・自ら恃むところすこぶる
 厚い              → 自信家

【行方不明になるまで】
・賤吏に甘んずるを潔しと
 しない             → 自尊心が傷つけられる
  ↓
・退官する
  詩家としての名を残し
  たい             → 自尊心・夢
  ↓
・文名は容易に上がらない → 自尊心が傷つけられる
  ↓
・再び官吏になる
 ・妻子の衣食のため    → 妻子のために夢を諦める?
 ・己の詩業に半ば絶望し
  たため            → 「半ば」であるからまだ未
                    練がある
  ↓
・かつては鈍物として相手
 にもしなかった連中の命
 令を聞かなければならな
 い                → 自尊心が傷つけられる
  ↓
・怏々として楽しまず、狂
 悖の性は抑え難くなる   → 不平不満がたまり、異常な
                    言動が多くなる
  ↓
・発狂し行方不明になる

【第一段のポイント】
◆自尊心の強い男が、たびたび自尊心を損なわれていること
 を確認する。
 →自尊心とは人間にとって何なのか?
 →自尊心が人間にとって大切なものならば、自尊心を失う
  ことは自分を失うこと……自分を取り戻すためには自尊
  心を回復しなければならない


第二段「李徴と袁傪の再会」

袁傪
・監察御史           → 地位の高い役人(出世)
・李徴にとって最も親しい
 友人
 ○理由……温和な袁傪の
  性格が、峻峭な李徴の
  性情と衝突しなかった
  から

袁傪「その声は、李徴子で
  はないか」
  ↓
李徴…しばらく返事がなか
  った             → 久しぶりに再会した友人と
                    話したいが、虎になったこ
                    とを知られたくなく、どう
                    していいか迷っている。
  ↓
李徴は返事をするが、姿を
見せない
 ○理由
  ・旧友にあさましい姿  → 自尊心
   を見せたくない
  ・旧友に畏怖嫌厭の情
   を起こさせたくない   → 袁傪を思いやっているよう
                    だが、みじめな思いをして
                    自尊心が傷つくことを恐れ
                    ている?
  ↓
袁傪の求めに応じて虎にな
った経緯を語り始める

【第二段のポイント】
◆虎になっても李徴の自尊心の強さは変わっていないことを
 確認する。


第三段「李徴の告白①~虎になった経緯と嘆き~」

【虎になった(ことを認めるまでの)経緯】
・戸外でだれかが我が名を
 呼んでいる          → 「だれか」とは誰(何)か
                    ?
  ↓
・声を追って走る
  ↓
・身体に変化を感じる
  ↓
・谷川に姿を映してみると
 、虎になっていた
  ↓
・目を信じなかった
  ↓
・夢にちがいないと考える
  ↓
・どんなことでも起こり得
 るのだと深く懼れる
  ↓
・理由はわからない
 「理由もわからずに押し  → (小説を味わうために)自
 つけられたものをおとな    分や人間一般に当てはめて
 しく受け取って、理由も     みる……人間に生まれたこ
 わからずに生きてゆくの    と・時代・国・性別etc
 が、我々生き物のさだめ
 だ」              → 李徴の心理=虎になったこ
                   とを受け入れるしかないと
                   諦めている←”さだめ”
  ↓
・死を考える          → 「人間である」自分への誇
                    り=自尊心
  ↓
・うさぎを見たとたん、自   → 人間としての心・意識(理
 分の中の人間はたちまち    性)がなくなっ(て、虎と
 姿を消した             しての本能ばかりになっ)
                     た

【李徴の嘆き】
・一日に数時間は人間の心
 が還ってくる
  ↓
・その時間がしだいに短く
 なってゆく
  ↓
・おれはどうして以前、人  → 「おれ」=虎の立場からの
 間だったのかと考えてい    発言
 た
  ↓
・獣でも人間でも、もとは  → (小説を味わうために)自
 何かほかのものだったん    分や人間一般に当てはめて
 だろう。初めはそれを覚    みる……かつては芸術家を
 えているが、しだいに忘    目指していたのに、平凡な
 れてしまい、初めから今    会社員になってかつての夢
 の形のものだったと思い    を忘れているetc
 込んでいるのではないか
 ?
  ↓
・おれの中の人間の心が消 → 虎になりきってしまえば、
 えてしまえば、そのほう     残虐な行いに苦悩せずに済
 がおれはしあわせになれ    という、いわば虎としての
 るだろう               幸せ
                       ↑
  ↓                    ↓ 
・そこのとをこの上なく恐  → 人間としては不幸(死に等  
 ろしく感じている         しい)
  ↓
・この気持ちはだれにもわ → 同じ身の上の者はいない=
 からない、同じ身の上に    絶対の孤独
 なった者でなければ

【第三段のポイント】
◆李徴を呼ぶ声について……傷つき失われた李徴の本質が本
 来の李徴を取り戻そうとしている→本来の李徴の内面にふ
 さわしい姿になった→李徴の本質=自尊心
◆「獣でも人間でも、もとは何か……初めから今の形のもの
 だったと思い込んでいるのではないか」については自分に
 当てはめて考えさせる→いつの間にか夢を忘れ、今の自分
 を当然のものとして日常を送っているなど。
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by usagi-kani | 2012-06-05 06:20 | 学校・教育 | Trackback | Comments(0)