2012年 06月 05日
『山月記』ノート(板書案)その1【李徴の人となり】
・博学才穎 → 非常に頭がよい
・若くして名を虎榜に連ね
る → エリート
・狷介 → 協調性がない
・自ら恃むところすこぶる
厚い → 自信家
【行方不明になるまで】
・賤吏に甘んずるを潔しと
しない → 自尊心が傷つけられる
↓
・退官する
詩家としての名を残し
たい → 自尊心・夢
↓
・文名は容易に上がらない → 自尊心が傷つけられる
↓
・再び官吏になる
・妻子の衣食のため → 妻子のために夢を諦める?
・己の詩業に半ば絶望し
たため → 「半ば」であるからまだ未
練がある
↓
・かつては鈍物として相手
にもしなかった連中の命
令を聞かなければならな
い → 自尊心が傷つけられる
↓
・怏々として楽しまず、狂
悖の性は抑え難くなる → 不平不満がたまり、異常な
言動が多くなる
↓
・発狂し行方不明になる
【第一段のポイント】
◆自尊心の強い男が、たびたび自尊心を損なわれていること
を確認する。
→自尊心とは人間にとって何なのか?
→自尊心が人間にとって大切なものならば、自尊心を失う
ことは自分を失うこと……自分を取り戻すためには自尊
心を回復しなければならない
第二段「李徴と袁傪の再会」
袁傪
・監察御史 → 地位の高い役人(出世)
・李徴にとって最も親しい
友人
○理由……温和な袁傪の
性格が、峻峭な李徴の
性情と衝突しなかった
から
袁傪「その声は、李徴子で
はないか」
↓
李徴…しばらく返事がなか
った → 久しぶりに再会した友人と
話したいが、虎になったこ
とを知られたくなく、どう
していいか迷っている。
↓
李徴は返事をするが、姿を
見せない
○理由
・旧友にあさましい姿 → 自尊心
を見せたくない
・旧友に畏怖嫌厭の情
を起こさせたくない → 袁傪を思いやっているよう
だが、みじめな思いをして
自尊心が傷つくことを恐れ
ている?
↓
袁傪の求めに応じて虎にな
った経緯を語り始める
【第二段のポイント】
◆虎になっても李徴の自尊心の強さは変わっていないことを
確認する。
第三段「李徴の告白①~虎になった経緯と嘆き~」
【虎になった(ことを認めるまでの)経緯】
・戸外でだれかが我が名を
呼んでいる → 「だれか」とは誰(何)か
?
↓
・声を追って走る
↓
・身体に変化を感じる
↓
・谷川に姿を映してみると
、虎になっていた
↓
・目を信じなかった
↓
・夢にちがいないと考える
↓
・どんなことでも起こり得
るのだと深く懼れる
↓
・理由はわからない
「理由もわからずに押し → (小説を味わうために)自
つけられたものをおとな 分や人間一般に当てはめて
しく受け取って、理由も みる……人間に生まれたこ
わからずに生きてゆくの と・時代・国・性別etc
が、我々生き物のさだめ
だ」 → 李徴の心理=虎になったこ
とを受け入れるしかないと
諦めている←”さだめ”
↓
・死を考える → 「人間である」自分への誇
り=自尊心
↓
・うさぎを見たとたん、自 → 人間としての心・意識(理
分の中の人間はたちまち 性)がなくなっ(て、虎と
姿を消した しての本能ばかりになっ)
た
【李徴の嘆き】
・一日に数時間は人間の心
が還ってくる
↓
・その時間がしだいに短く
なってゆく
↓
・おれはどうして以前、人 → 「おれ」=虎の立場からの
間だったのかと考えてい 発言
た
↓
・獣でも人間でも、もとは → (小説を味わうために)自
何かほかのものだったん 分や人間一般に当てはめて
だろう。初めはそれを覚 みる……かつては芸術家を
えているが、しだいに忘 目指していたのに、平凡な
れてしまい、初めから今 会社員になってかつての夢
の形のものだったと思い を忘れているetc
込んでいるのではないか
?
↓
・おれの中の人間の心が消 → 虎になりきってしまえば、
えてしまえば、そのほう 残虐な行いに苦悩せずに済
がおれはしあわせになれ という、いわば虎としての
るだろう 幸せ
↑
↓ ↓
・そこのとをこの上なく恐 → 人間としては不幸(死に等
ろしく感じている しい)
↓
・この気持ちはだれにもわ → 同じ身の上の者はいない=
からない、同じ身の上に 絶対の孤独
なった者でなければ
【第三段のポイント】
◆李徴を呼ぶ声について……傷つき失われた李徴の本質が本
来の李徴を取り戻そうとしている→本来の李徴の内面にふ
さわしい姿になった→李徴の本質=自尊心
◆「獣でも人間でも、もとは何か……初めから今の形のもの
だったと思い込んでいるのではないか」については自分に
当てはめて考えさせる→いつの間にか夢を忘れ、今の自分
を当然のものとして日常を送っているなど。